本当に大切なものは目に見えない。
前回の記事
でも紹介したと思うけど、童話ブームが、きてる。
童話なんて現実離れした幼稚なファンタジーで子供だましでしょ?
そういう人にこそ一度読んでいただきたい。確かに童話はどこかロマンチックで純粋な話が多い。現実社会のドロドロしたような雰囲気や人間同士のいざこざの描写は少ないだろう。人間の汚い部分に慣れてしまった僕たちには多少物足りないかもしれない。けれど、だからこそ読む価値があるのだと思う。社会にすり減らされた大人だからこそ響くフレーズに出会えたり、忘れていた童心を思い出させてくれるからだ。
- 作者: サン=テグジュペリ,Antoine de Saint‐Exup´ery,河野万里子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2006/03
- メディア: 文庫
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「星の王子さま」
サン=テグジュペリっていう名前のクセがすごいフランス人作家が書いた本。刊後60年たった今でも愛され続けているまさに童話の金字塔だ。
ストーリーはいたってシンプル。自分の星から旅に出た王子様がいくつもの星を渡り歩く。その行く先々で様々な人間に遭い、人間のおかしな部分に王子様が純粋に気づいていくというもの。子供ながら的を射た王子様の目線に、普段の雑踏の中で生きている私たちはハッとさせられる部分も多い。
特に、王子様が5番目に訪れた労働者がいる星の掛け合いは秀逸だった。
王子さまはガス灯を管理している一人の労働者に「なぜガス灯を灯すのか」と聞きます。すると労働者は「それが指示だから。わかる必要はない」と答えます。その上労働者は「いつでも休みたい」と嘆いている。これはまさに私たちの労働を象徴しているのではないだろうか。ただ指示通りに動くだけで、働く理由や、その価値なんてわからない。私たちの暮らしを子供目線で客観的にみるとこんなにも滑稽なものかと思わされます。
そして有名な「本当に大切なものは目に見えない」という言葉
何でも「見える化」してしまう今だからこそ、自分にとって本当に大切なものはなんだろうと改めて気づかされます。社会に揉まれる毎日を送る大人にこそ読んでもらいたい小説です。