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本職にしたい。

インタビュー記事

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「ちょうど俺も若い子に言いたい事あんねん。話したるわ」

 

インタビューをお願いしたところ、こんな返事が返ってきた。彼の名前は安藤(仮名)さん55歳。通っている職業訓練校で知り合った。大学卒業後に入社した大手スーパーで31年間勤め上げ、早期退職。今は独立に向けて人生の再設計中だという。学生の頃は柔道一筋で、自称やんちゃ坊主。昭和の体育会系を絵に描いたような人で、またうるさい小言が始まるな。そんな事を思いながら話を聞いた。

 

 

「今の教育はやっぱりおかしい」インタビューが始まってものの五分で、ボルテージは最高潮に達していた。スーパーで働く学生バイトの子を見ると、そんな思いが湧いてくるのだという。競争を良しとせず、事なかれ主義で臭い者にはすぐ蓋をする。そんな教育制度に違和感を覚える。順位をつけない徒競争がある事をテレビで知った時は驚いた。「だって世の中資本主義社会で弱肉強食やのに、教育がそれをなくしてどないするん」

 

彼が学生だったころは、もっと荒れていたし、やんちゃし放題だった。ある日、学校のガキ大将に喧嘩で負けて、泣いて帰った事があった。すると母親に「相手を泣かしてくるまで家には入れてやらん」と言われて放り出された。当時は意味不明だったが、今思えばあの経験が後々役に立った。蹴落とし合いの社会の中で何度も這い上がり、確固たる地位にまで上り詰めた。「いじめの問題にしても、黙ってるからつけあがんねん。目には目を。やり返さなあかんで」

 

免疫が無く、良い子ちゃんが多すぎる。少し怒られただけですぐ辞める、挨拶ができない、指示が無いと動けない。失敗を極度に恐れ、何にも挑戦しないのは実にもったいない。「若いころには何べんでも失敗したらいええんや。転んでもまた起きあがったらいい。そうして強くなっていくんや。今から何を怖がる必要があるんか、俺には全然わからんけどな」。その頑固なまでにまっすぐな性格から、苦労も多かったと覗える。だからこそ、失敗を経験せずに大人になってしまう人たちを見て、思うところもあるのだろう。

 

「そうは言っても、若い人には若い人なりの苦労があるんじゃないですか?」ゆとり世代を代表して反論した。先細りする経済の中で、どう生きればいいのか。破綻寸前の年金制度や社会保障の事を考えると、一歩でも道を踏み外すと・・・という気持ちは大いに理解できる。貧しくても、希望だけはあった時代とは違うのだ。そう思いをぶつけてみると、「そんな国に頼らずに自分で稼げばいいんや」と突き放された。

 

インタビュー後、反骨心で一杯になった。だが、もしかするとこの反骨精神こそ、彼が若者に求めている物だったのかもしれない。